【米国に嵌められた東芝】2010年に米国で起きたシェール革命が起因?

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東芝という日本を代表する家電メーカーはどうなってしまうんでしょうか?

「日本企業の古い体質が招いた自業自得の出来事だ!」と、いつもテレビで嘯く経済評論家という職業の人達の声が聞こえてきそうですね。💦

でも「東芝は米国に嵌められた」と言っている専門家が多いのも事実です。

真実はどうなんでしょうか?

ことは原発買収から始まった

東芝が窮地に陥ったのは、約7000億円にも及ぶ損失を記録してしまったからであり、その取引はたった一つの取引から生じたものと言われています。

その取引は、米国のS&W社(ストーン・アンド・ウェブスター)の買収です。

このS&W社が、1年後に約7000億円の赤字を出すのです。

そんな巨額な赤字に何故気付かなかったの?と素朴な疑問が湧きますよね?

そもそも原発事業に参入した理由は?

大きな賭けに出た背景

2005年に就任した西田社長は、「事業は成長させなければいけない」と、名門企業のプライドをかけて拡大路線に走り出しました。

従来の停滞から一気に抜け出すために選んだ重点事業が、原発とフラッシュメモリーだったのです。

ウェスチングハウス(WEC)の買収

2006年、東芝は米国の原子炉メーカーであるウェスチングハウス(WEC)を買収しました。

買収の理由は、米国の原子力事業に参入したかったからに他なりません。

世界一の実績を持つWECの買収をテコに海外市場の開拓を目指したが、タイミングが悪かった。原子力発電所の安全性を高めるための規制強化と重なり、11年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故で、事業環境が冷え込んだのは不運だった。

もちろん運が悪かったで片付けられる問題ではない。実力以上の「賭け」だった点に落とし穴があった。企業は「ハイリスク、ハイリターン」を避けていたら、成長機会を失う。ただしハイリスクを受け止められる財務力、経営力がなければ、運任せになってしまう。

出典:nippon.com > 「米原発事業で巨額損失:実力以上の賭けに失敗した東芝」

WECは、米国では最大級の原子炉メーカーでした。

既存の米国内原子炉の多くはWECによるもので、その保守料だけで莫大な収益をあげていたのです。

WECは、東芝の買収後、次々に新規の原子力発電所建設を受注していきます。

  • 2007年 中国で4基の建設を受注
  • 2008年4月 米国サザン電力の子会社であるジョージア電力と2基の新規原子力プラントの建設に関する契約を締結
  • 2008年5月 米国スキャナ電力の子会社であるサウスカロライナ・エレクトリック&ガス・カンパニー(SCE&G)と2基の新規原子力プラントの建設に関する契約を締結

サザン電力、スキャナ電力のいずれの原発も、2011年に着工予定だったといいます。

ところが、2011年には、ご存知のとおり東日本大震災が起きました。

この出来事により、東芝の目論見は大きく崩れたのです。

工期遅延による膨大な追加費用が発生

トラブルの伏線は2001年の同時多発テロ

東芝の発表資料によれば、米国での建設の遅れやトラブルの伏線は、01年9月11日のニューヨークおよびワシントンでの同時多発テロによって敷かれていたと言います。

つまり、WECが受注した米国の4基は、約30年ぶりの新設となるため、航空機衝突対策による設計変更および追加安全対策が既に求められていたのです。

こうした規制強化が建設を遅らせコスト増をもたらしていました。

固定価格オプションという甘言

問題は膨れ上がるコストを誰が負担するのか?ということでした。

発注した電力会社、受注したWEC、建設会社の間で増加コストの押し付け合いが始まり、訴訟合戦に発展します。

そして、電力会社側は「東芝がS&Wを買収し一体化すれば、契約金額や工事期間の見直しに応じる」と言ってきたのです。

結果的に東芝は、S&W社を買収することに合意し、それとともに、電力会社と今後の建設費などの見直しの契約も行いました。

その見直し契約が、固定価格オプションというものでした。

固定価格オプション」とは?

スキャナ電力は、2年程度の工事期間を延長する契約変更に応じますが、その後の超過コストはすべてWECが負担するというものでした。WECが負担するということは、つまりは実質的に親会社の東芝が負担するということです。

しかも、それはS&Wの買収時点ですでに発生していたと言います。💦

何故、東芝は、S&Wが超過コストを抱えていることに気付かなかったのでしょうか?

官民が結託した隠蔽工作があった

民間同士の騙し合いということであれば、それはこっちより先方が賢かったということなんでしょう。

しかし、官民が結託した隠蔽工作があったとしたらどうでしょうか?

S&Wは、もともとは米国の建設会社大手のショー・グループが所有していました。

東芝は、このショー・グループからS&Wを買収したのです。

買収する際、S&Wの持ち主であるショー・グループは、S&Wには10億ドル以上の運転資金があることを約束しており、米国の監査法人なども、それを証明していました。

買収される時点では「会計上の超過コスト」は無かった

S&Wの損金が発生するのは、電力会社が固定価格オプションを発動してからです。

前述したように、スキャナ電力は、東芝がS&Wを買収した時点で、固定価格オプションという契約を結びましたが、この固定価格オプションは、しばらく発動されませんでした。

つまり、買収した時点では、この損失は帳簿上はまだ損失という扱いにはなっていなかったのです。

もっと言うとS&Wにとっては、追加工事は「売上」であり、損失ではなかったのです。

半年後にスキャナ電力は固定価格オプションを発動

これにより、追加工事の費用のほとんどがWECが負担することになります。

WECが負担するということは、つまりは東芝が負担するということです。

この時点で、S&Wは東芝に7000億円の損失をもたらしました。

丸儲けした米国の電力会社

簡単に言ってしまうと、東芝は米国に嵌められたいうことです。

しかも、それだけには留まりません。

通常は、新しい原発の建設は費用超過がつきものなので、その負担は電力会社と受注企業が分担するのが通例ですが、スキャナ電力の場合、超過コストをほとんど負担していません。

さらに、スキャナ電力は、原発建設の超過コストを、ちゃっかり電気料金の中に組み入れているのです。超過コストの負担は一切していないにもかかわらずです。

つまりは、丸儲けということです。

まとめ

  • 2005年から始まったアメリカの新原子力発電事業
  • 2010年のシェール革命によるガス発電の大躍進
  • 2011年の福島第一原発事故により原発事業は大きく後退

そして、その損失は、全て東芝一人が背負わされてしまいました。

2010年のシェール革命によって、これらのシナリオは出来あがったように見えませんか?

プラザ合意以降の日本経済の衰退は、明らかに政治の敗北だと思います。

つまり、丸腰のまま世界に出ると必ず遣られると認識すべきでしょう。

歴史を振り返れば、それは明らかです。(日米半導体協定、TRON、 Winny、、)

かつて、明治国家のグランドデザイナー井上毅は、幕末維新の急激な西洋化に対して、このように警鐘を鳴らしました。

井上毅
井上毅

「万国一体、四海兄弟」は、西洋諸国が自らの便利を追求しようとしつつ、その自国の利害をおおう方便としていっているものに過ぎない。

世界最大の債券国であるニッポンが、なぜ経済的に困窮したまま今日まで至っているのか?

国債を「国民の借金」と嘯くことで、あえて経済を循環させない。それが彼らの策略なのです。

しかも、この大嘘について国内大手メディアはほとんど報道しません。

もっと『闇の根っこにあるもの』を知りたい方はこちらもどうぞ。

まことちゃん
まことちゃん

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!

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