健康保険証とマイナンバーカードが一本化されるという政府からの発表を受けて、マイナンバーカードは大丈夫なんだろうか?と、不安に思っている方は多いのではないでしょうか?
でも、マイナンバーカードの仕組みを正しく理解することで、このような不安は解消されるはずです。
本記事は、今までマイナンバーカードを使ったことがなく、使用する必要性も感じていなかった「アナログ人間」な方々の悩みを解消するための内容になっています。
まずは、マイナ保険証(マイナンバーカードを健康保険証として利用すること)のメリットを押さえておきましょう。
マイナ保険証のメリット
病院窓口での受け付けがスムーズになります
暗証番号の入力がなくても、カードリーダーによる顔認証が使えるため、スムーズに本人確認と医療保険の資格確認ができます。また、医療機関や薬局の受け付けにおける事務処理が簡素化されるので、待ち時間が大幅に短縮されることが期待できます。
より良い医療が可能になります
本人同意のもと、自身の健康診断の結果や、今まで受けてきた診療、および処方されている薬等に関する情報について、医師や薬剤師等が取得できるようになります。
このことにより、初めて受診する医療機関や通院先が複数ある場合でも、正確な情報に基づいて適切な医療を受けることができます。
手続きなしで限度額以上の一時支払いが不要になります
今までは、限度額適用認定証/限度額適用・標準負担額減額認定証は事前申請が必要でした。このため、急に入院が必要になった場合には、限度額以上の高額な医療費を一時的に支払う必要がありました。
マイナ保険証の場合は、オンラインで資格確認が可能になるため、認定証がなくても限度額を自動で確認することができるようになり、一時的な支払いが免除されるようになります。
健康保険証としてずっと使える
今までは、転職した場合(勤め先が変わる)、引っ越しした場合(住所が変わる)、結婚をした場合(氏名が変わる)、健康保険証の再発行が必要でした。
マイナ保険証になると、転職した場合、引っ越しした場合、結婚をした場合においても、新しい医療保険者へ手続済みであれば、現在使っているマイナンバーカードを健康保険証として継続して使うことができます。
その他のメリット
マイナポータルとe-Taxの連携で、確定申告の医療費控除が簡単になったり、自分の特定健診や薬剤情報を閲覧できるようになるため、利便性が向上します。
ここまでは使用する側(国民)のメリットでした。
実は、運用側(国や保険組合)にも大きなメリットがあります。それは、脱税や不正請求などの撲滅につながるということです。
何故か、あまり報道されませんが、「不正防止がマイナ保険証導入の最大のメリット」と言えるでしょう。社会保険料がどんどん膨れ上がっている問題を改善することにも繋がります。
「正直者がバカを見る」という理不尽な世の中を改善してくれることに期待します。
マイナ保険証のデメリット
マイナ保険証にはデメリットもあります。
すべての医療機関や薬局が対応しているわけではない
使える医療機関が限られています。対応する医療機関は少しずつ増えていきますが、2022年5月時点で導入できている施設は2割弱です。
政府は「2023年3月までにほぼ全ての施設で導入する」と言っていましたが、まだまだ目標には程遠い状況です。
利用登録する方法が限られている
現時点(2022年11月)では、オンライン(マイナポータル)かセブン銀行ATMのみです。
限られていると言っても、セブン銀行ATMで簡単に登録できますよ。(下記サイトを参照)
初診で21円、再診で12円の追加医療費が生じる
2022年10月から、マイナ保険証の場合は6円、従来の保険証の場合は12円と変更になりました。したがって、マイナ保険証が使える(機器導入済)施設においては、従来の保険証のほうが高くなるということになります。
マイナ保険証が使えない施設では、追加医療費が徴収されないため関係ありませんが、導入済の施設では、マイナ保険証のほうが安く済むということです。
いづれ、全ての施設でマイナ保険証が使えるようになることを考えると、今はデメリットでもメリットと言えますね。
今あるデメリットは、いずれ収束するものなので、従来の保険証に拘る理由は何もないという認識です。
マイナンバーカードの仕組み
ここまでの内容で、利便性向上というメリットは理解できたと思います。
しかし、マイナンバーを第3者に盗み見されたり、カード自体を紛失したりした場合に、大丈夫なんだろうか?という不安は、使用する前に解消しておきたいものです。
ここからが、本記事の本題です。
マイナンバーカードへの記載事項
「おもて面」には以下が記載されています。
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 性別
- 顔写真
- 電子証明書の有効期限の記載欄
- セキュリティコード
- サインパネル領域(券面の情報に修正が生じた場合、その新しい情報を記載)
- 臓器提供意思表示欄
そして、「うら面」に個人番号が記載されています。
マイナンバーカードのセキュリティ対策
カードには個人情報が記録されているので、カードを盗まれたり落としたりしたときに、情報が洩れるのではないかと、非常に心配ですね、、😱
ICチップ内の情報
マイナンバーカードのICチップ内には、下の図にあるように4つのアプリケーション(AP)と空き領域がありますが、これらには、必要最低限の情報のみ記録され、税情報や年金給付情報等、プライバシー性の高い個人情報は記録されていません。
引用元:総務省「マイナンバー制度とマイナンバーカード」
アクセス権の制御
ICチップ内の各アプリケーション間は、下の図にあるようにそれぞれ独立しており、アプリケーションごとに条件や暗証番号等のアクセス権情報を設定することで、異なるアプリケーションへのアクセスはできない仕組みになっています。
引用元:総務省「マイナンバー制度とマイナンバーカード」
耐タンパー性
マイナンバーカードのICチップは、偽造目的の不正行為に対する耐タンパー性を有しています。この機能は、ICチップ内の情報が不正に読み出されたり解析されようとすると、自動的に内容を消去したり、チップを壊す仕組みです。
暗証番号は、先にも述べたようにアプリごとに独立しており、かつ、暗証番号を一定回数以上間違うとカードがロックされます。
引用元:総務省「マイナンバー制度とマイナンバーカード」
マイナンバーカードの認証の仕組み
マイナンバーカードの「公的個人認証サービス」に使用されている「RSA暗号方式」は、何らかの情報から「秘密鍵」と「公開鍵」というペアになった鍵を作り、それらの鍵を使って共有したい情報を解読できないように「変換」します。
変換した情報を元に戻すには「復号」を行いますが、RSA暗号方式においては、この「変換」と「復号」に以下の特徴があります。
- 公開鍵で変換した情報を、秘密鍵で復号できる
- 秘密鍵で変換した情報を、公開鍵で復号できる
- 公開鍵で変換して公開鍵で復号、秘密鍵で変換して秘密鍵で復号は不可能
- 変換を行った鍵とは別のペアの鍵での複合は不可能
マイナンバーカード発行時には、秘密鍵と公開鍵のペアが市町村から発行されます。
その公開鍵に対して「地方公共団体 情報システム機構」(J-LIS)という機関が、マイナンバーカードの発行番号や有効期間といった情報と紐づけて、電子証明書として発行します。
これらの秘密鍵と、公開鍵として機能する電子証明書がICの中に格納され、電子証明書を取り出すときに使う暗証番号を設定して、マイナンバーカードは配布されます。
引用元:ITmedia NEWS
この利用者証明電子証明書の場合は、ログイン先のサービスと認証局が別であり、信頼できる第三者を認証局とすることで信頼性を高めています。
まとめ
マイナンバーカードを盗まれたり落としたりしたら、情報が洩れるのではないか?という不安は払拭できたでしょうか?
とは言え、万が一紛失した場合は機能停止の手続きを速やかに行いましょう。
現行の健康保険証が2024年秋に廃止されるという発表が、あまりにも唐突すぎる印象はありますが、マイナ保険証のほうがメリットが多いのは明らかです。
セキュリティ面で危ういという話も、ほとんど根拠がないものであるということも、理解してもらえたと思います。少なくとも、従来の健康保険証よりも間違いなく便利で安全です。何より、不正利用を撲滅できることが最大のメリットですから。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!