アメリカ大統領選後、暗号資産市場が盛り上がりを見せています😊
その理由は、言うまでもなくトランプ次期大統領の暗号資産に対する前向きな発言によるものですが、それだけではありません。
下表は、2024年12月8日現在の時価総額(マーケットキャップ)ですが、本記事ではこれら上位10位の銘柄の中から過去30日間で「161%」の上昇率を見せた『カルダノ ADA』のファンダメンタルについて深堀します。
ちなみに、337%という驚異的な数値を叩き出した「XRP」については、以前に記事にしていますので参考にしてください。
本記事を読めば、「カルダノ ADAの将来性」について理解を深めることができます。
カルダノ ADAコインとは?
カルダノ財団(Cardano Foundation)は、スイスのツークに拠点を置くブロックチェーンネットワークと暗号通貨組織です。カルダノの技術規格の保護や発展、カルダノコミュニティの支援などを目的として活動しています。
ADA(エイダ)コインは、分散型アプリケーション(DApps)の開発が行えるブロックチェーン「カルダノ」の基軸通貨のことです。
ADAコインの特徴
ADAコインは主に以下の特徴を持っています。
- DAppsの開発ができるパブリックブロックチェーン
- コンセンサスアルゴリズムに「ウロボロス」を採用
- 専用のウォレットをリリース
- ステーキングで報酬を獲得可
DAppsの開発ができるパブリックブロックチェーン
DAppsは、ブロックチェーンを基盤として構築された分散型アプリのことですが、人の手を介さずに契約内容を自動で実行してくれる「スマートコントラクト」という機能を導入することにより、管理者が不在でもアプリの運営を行うことが可能です。
2021年9月に独自のスマートコントラクトである「Plutus(プルータス)」が実装され最高値を付けました。
コンセンサスアルゴリズムに「ウロボロス」を採用
エイダコインは、「ウロボロス(Ouroboros)」という独自のコンセンサスアルゴリズムを採用しています。
コンセンサスアルゴリズムと言えば、ビットコインのプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、「PoW」と略されます)が有名です。
コンセンサスアルゴリズムって何?という方は、以下の記事を参考にしてみてください。
ウロボロスはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の一種で、PoWのようなマイニングは必要としません。
一般的なPoSの場合、コインを多く保有できる富裕層に取引を承認する権利が集中しやすいという問題がありますが、ウロボロスでは限られた者に権利が集中しないように分散化が図られているところが特徴です。
専用のウォレットをリリース
2種類の専用ウォレット(Daedalus、Yoroi)が用意されています。
Daedalus
Daedalusウォレットは、ADAコイン用に開発されたCardanoフルノードに紐付けされているデスクトップ版ウォレットです。
Cardanoブロックチェーンの全履歴が保存されるため、完全にトラストレスかつ自律的な操作による、全ブロックおよびトランザクションの検証を実現します。
対応するオペレーシングシステムは、Windows、Mac、Linuxです。
Yoroi
Yoroiは、ADAコイン用のライト階層的決定性(HD)ウォレットで、ChromeまたはFirefox拡張機能として実行されます。
Yoroiは瞬時に初期設定が可能で、最小限のシステムリソース使用量で迅速かつ簡単に操作が行えます。
Windows、Mac、Linuxに加え、iOS、Androidにも対応しています。
ステーキングで報酬を獲得可
ステーキングとは、特定の暗号資産を保持した状態でブロックチェーンのネットワークに参加することで、対価として報酬が得られる仕組みのことで、ビットコイン(BTC)におけるマイニングに相当するプロセスです。
ADAコインでは、2020年7月にシステムアップデート「SHELLEY(シェリー)」が行われた際に、ステーキング機能が追加されました。
ここまでは、ADAコインの基本情報です ^^;
ここからが本番です!
ビットコインDeFiの実現
近年、誕生から16年を迎えたビットコインブロックチェーンを使い、「オーディナルズ」や「ルーンズ」、「BRC-20トークン」といった新サービスが誕生しています。
流動性や規制などの課題が解決された場合、ビットコインはデジタルゴールドになる可能性があると言われています。この実現に向けた大きな要因として、DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)の存在もあげられます。
拡張UTxO(EUTxO)を理解する
『拡張UTxO(EUTxO)』って何?
その前に「ラップド・ビットコイン(Wrapped Bitcoin, WBTC)」というものを理解しておく必要があります ^^;
ラップドビットコイン(Wrapped Bitcoin)は、ビットコインのステーブルコインのことです。
ERC-20で使えるBTCを作ろうという目的で生まれた暗号資産であり、ビットコインと価格が連動しているため、1WBTC≒1BTCとなるように作られています。ERC-20を使うのでイーサリアムブロックチェーンを使用します。
つまり、WBTCはイーサリアムの技術を使用してビットコインDeFiを実現するための技術と言っていいでしょう。
したがって、ERC-20の課題(デメリット)も踏襲することになります(・・;)
高いガス料金: コストがかかる
スケーラビリティ問題: トランザクションの遅延
スマートコントラクト依存: セキュリティリスク
このようなデメリットは、「会計モデル」というブロックチェーン特有の仕様から発生します。
「会計モデル」の違い
ERC-20(イーサリアムブロックチェーンでトークンを作成するための規格)では、アカウントベースモデルという「会計モデル」が採用されています。
ブロックチェーンにおける「会計モデル」とは、ネットワーク上でトランザクション(取引)を管理し、残高を追跡するための仕組みのことであり、UTxO(Unspent Transaction Output)モデルと、アカウントベースモデルの2つがあります。
2つを比較すると、
[UTxOモデル] | [アカウントベースモデル] | |
使用例 | Bitcoin | Ethereum |
残高管理方法 | 未使用トランザクション出力を追跡 | アカウントの残高を更新 |
並列処理 | 容易 | 難しい |
プライバシー | 高い | 低い |
スマートコントラクト | 非対応 | 対応 |
状態管理の複雑さ | 高い | 低い |
アカウントベースモデルの特徴
わかりやすく理解するために、「コンビニで決済する場合」を考えてみます。
アカウントベースモデルで支払う場合、支払側と受取側には、「合計金額」という概念以外は存在しません。
このとき、「支払側=顧客」「受取手=POSレジ」「ネットワーク=店員」として考えてみます。
【それぞれの所持金(残高)】
顧客の財布 10,000円
POSレジ 150,000円
このような状態を仮定すると、以下のやりとりが生まれます。
【1,000円の支払いの場合】
1,000円支払います
了解しました。1,000円の支払いですね
【支払い前】 | 【支払い後】 | |
顧客 | ¥10,000 | ¥9,000 (¥10,000 – ¥1,000) |
POSレジ | ¥150,000 | ¥151,000 (¥150,000 + ¥1,000) |
このように、アカウントベースの場合は、店員さんが「両者の残高を確認して計算し直す」というやりとりが発生します。
どちらの残高も「合計金額の結果だけ」が入っているので、中身はいつもわかりやすくスッキリしています。
UTxOモデルの特徴
では、UTxOの店員さんの場合を考えてみましょう。
UTxOの場合は、所持金(残高)から支払われる金額だけに注目します。
大きなポイントは、「顧客が自分で計算する」という点と、「店員がお釣りを作る能力を持つ」という点です。
アカウントベースモデルと同様、「支払側=顧客」「受取手=POSレジ」「ネットワーク=店員」として考えてみます。
【それぞれの所持金(残高)】
顧客の財布 5,000円、2,000円、2,000円、500円、200円、100円、100円、50円、50円
POSレジ 50,000円、50,000円、20,000円、10,000円、10,000円
UTxOの場合、顧客の財布には様々な種類の「紙幣と硬貨」が混在していますので、合計金額は計算しないとわかりません。
この場合のやりとりは、次のようになります。
【1,000円の支払いの場合】
2,000円札で支払います。
了解しました! 1,000円をPOSレジに格納し、1,000円はお客様へ返却します。
ありがとうございます! (1,000円を財布へ戻す)
このように、UTxOの場合は「それぞれ、財布とPOSレジにお金を入れるだけで終了」します。
顧客の財布やPOSレジの残高は計算しません。
したがって、アカウントベースと比較して取引の工数が圧倒的に少なくなります。
ただし、財布とPOSレジにはたくさんの紙幣や硬貨が入っているため、その残高を調べる場合は手間がかかります。
アカウントベースの店員さんは、行列への対応が苦手
アカウントベースの店員さんは、いちいち両者(顧客とPOSレジ)の合計金額を計算しないといけません。したがって、リスク回避のためにひとつのPOSレジにはひとりの顧客だけをあてがうことになります。
そのリスクとは、エラー発生(合計金額の計算間違い)などによる混乱です (・・;)
都心のコンビニ(特にランチタイム)を思い浮かべてもらうとわかりやすいですよね 😀
UTxOの店員さんは、行列ができでも気にならない
UTxOの店員さんの場合、顧客へ「お客さん、先にお金とお釣り計算しといてね!」とお願いしておき、「受け取ったお金を指示通りに分割して両者に戻す」だけで済みます。
お釣りはもらったお金から作ることができるので、POSレジから取り出す必要はありません。POSレジの残高はまったく気にする必要がないのです。
複数の店員さんが同じPOSレジにお金をどんどん入金しても問題は起きません。
会計モデルには2種類あり、イーサリアムを筆頭にスマートコントラクト機能を持つ暗号資産は「アカウントベース」モデルを採用しているケースが多く、常に残高の中身が管理されていることでシンプルでわかりやすいというメリットがある一方、顧客が行列を作るような混雑が生じるような場合は、ネットワーク(店員さん)の負荷が重くなるというデメリットがあることがわかります。
ドミナンスで圧倒的な優位性を持つビットコインの会計モデルは「UTxO」モデルを採用しています。「UTxO」モデルは、上述したようにネットワーク拡張には有利ですが、台帳の構造が複雑すぎて、スマートコントラクトを実装するのが困難であることが弱みでした。
このような背景もあり、『ラップドビットコイン(Wrapped Bitcoin)』が生まれたと言っても過言ではないでしょう。
ビットコインDeFiを実現するために『ラップドビットコイン(Wrapped Bitcoin)』をERC-20にて実現する。
ところが、この「会計モデル」の違いによる問題を解決する方法を持つ暗号資産があります。
それが、ビットコインと同じ会計モデルを採用するADA(エイダ)コインなのです (^^)
拡張UTxO(EUTxO)の可能性
InputOutoputは、スマートコントラクトを実装することが可能となる「拡張UTxOモデル」を考案しました。
拡張UTxOでは、UTxOアドレスの「鍵と錠」の概念に変更を加えたほか、格納データや出力アドレスのロジック変更などを行うことで、UTxOの機能を拡張してスマートコントラクトの実行に成功しています。
拡張UTxOは、「並行処理が可能なUTxO」と「トランザクションがプログラム可能なアカウントベースモデル」のそれぞれのメリットを兼ね備えたハイブリッドな会計モデルです。
トランザクションは、ブロックチェーン全体を考慮する必要がなくUTxO単位のみで完結します。したがって、ネットワークの負荷を最小限にとどめることができます。
各トランザクションは他のトランザクションの影響を受けないため、失敗することはありません。
入力された取引処理は各UTxOごとに処理されるため並行処理が可能です。
トランザクションの入力前に、使用するUTxOのみで検証が可能なため手数料を正確に予測することが可能です。
拡張UTxOは、L1における処理能力を高めているだけでなく、L2やサイドチェーンとも容易に連携できる特徴もあります。つまり、オフチェーンにおけるスケーラビリティの拡大においても、アカウントベースモデルよりも大きな可能性を秘めているのです。
アカウントベースモデルの限界
アカウントベースモデルは、並行処理が難しく取引エラーが起きやすい。
予期せぬ高額な手数料が生じることもあります。
取引エラーが起こりやすいことを利用した攻撃についても指摘されています。
Bitcoin OSで「ビットコイン」と「カルダノ」を統合
カルダノサミット2024で、暗号資産業界に歴史的な転換点をもたらす可能性を秘めた画期的な提携が発表されました。
その内容は、ここまで記事を読んでいただいている方には大体は想像がつきますよね?
まるで、ビットコインとカルダノをつなぐために生まれてきたようなもの。それが『Bitcoin OS』なのです。
Bitcoin OSの本質
その要点は、以下のとおりです。
機能拡張
- DeFi、GameFiなどの新しい用途をビットコインにもたらす
- スマートコントラクト機能の実現
- 従来の単純な価値保存・送金機能からの進化
セキュリティと革新の両立
- ビットコインネットワークの完全性を維持
- 相互作用はオプショナルで強制されない
- 基本的な価値を損なうことなく機能を拡張
これにより、1.3兆ドルという巨大な資産基盤を持つビットコインが、カルダノの高度なスマートコントラクト機能を活用できるようになります。
カルダノのUTXOベースのアーキテクチャがビットコインとの親和性が高く、特にPlutus V3へのアップグレードにより、EVMウォレットやビットコインウォレットとの互換性が大幅に向上しました。
まとめ
最後にカルダノの創設者チャールズ・ホスキンソン氏による「ビットコインDeFi」に対するコメントを紹介します。
「私はビットコインの世界から始め、ビットコインを愛していた。ビットコインは私の人生の大きな部分であり、私が今日ここにいる唯一の理由はビットコインが存在するからだ」と、11月27日に投稿されたYouTube動画でのべた。
彼は初期のビットコイン使用に関するフラストレーションを語りつつ、「ビットコインは眠れる巨人から目覚め、ソラナとイーサリアムを合わせたものの4倍の規模になった」とし、「ビットコインエコシステム内のDeFiは、仮想通貨業界のすべてのエコシステム内のDeFiを24~36ヶ月以内に凌駕するだろう。それは単に規模と流動性の問題だ」と強調する。
さらに、このように語っています。
ユーザーはカルダノ上でビットコインをラップドトークンにブリッジすることで「DeFiモード」を有効にできるとホスキンソンは語った。これにより、ビットコイン保有者はDeFiエコシステムに参加し、分散型取引所で取引し、利回りを持つ金融商品を使用し、秘密鍵の管理を維持することが可能になると。
暗号資産(仮想通貨)? ビットコインになんの価値がある?ハッキングのニュースはよく聞くけど、本当に米国の「ビットコイン準備金」は実現するの?等など。。なぜかこの国では投資先としての暗号資産はネガティブ情報が中心です。大きなパラダイムシフトが起きようとしている今でもそうです。まぁ、だからチャンスでもあるのですが (・・;)
いずれにせよ、投資は全て自己責任ですので、あしからずご了承くださいませ。^^;
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)とは、ブロックチェーンを基盤にした中央集権的な管理者を必要としない金融サービスのことで、イーサリアムを中心に様々なブロックチェーン上で展開されています。
DeFiは既存の金融サービスとは異なり、銀行や企業などの管理者を介さずに、ユーザー同士が直接取引をおこなうことができるところが大きな特徴です。